去る太平洋戦争末期、民間人を巻き込んだ地上戦の戦場となった沖縄県は、多くの尊い生命と貴重な文化遺産を失いました。終戦後も27年間にわたり米国の統治下に置かれ、軍事戦略の拠点としての役割を担い、今日もなお、日米安全保障体制の要石として、在日米軍専用施設の多くが沖縄県に存在しています。このような悲惨な体験や厳しい現実を通して、私たちは平和の貴さを肌身で感じており、人々が安心して暮らせる世の中の到来を願って止みません。
ところが、沖縄の平和と繁栄に密接な関係があるアジア太平洋地域には、領土問題、民族や宗教の違いに根ざした対立などの地域紛争の火種が数多く存在するだけでなく、環境破壊、貧困、飢餓、災害など平和な社会の確立を妨げる危機的状況が多発しています。紛争の火種や不安定要因を取り除く方法の一つに、信頼醸成や対話の促進といった非軍事的な協力活動があります。このような活動は、私たちの共通の願いである世界の平和に直結し、ひいては、沖縄における「米軍基地の整理・縮小」の実現に結びつくものだと考えます。
しかしながら、沖縄は今まで、アジア太平洋地域の紛争解決や平和構築といった分野において、その歴史的な使命に見合ったなんらかの役割を果たすような踏み込んだ努力が足りなかったのではないでしょうか。平和を築き維持するためには、平和を語り継ぐばかりでなく、実際に必要な具体的措置を考え、実行しなくてはなりません。ユイマール(相互扶助)の精神に基づいて、アジア太平洋地域の人々と互いに助け合い、知恵を絞り、共に汗を流して行動し、平和を築き上げていくことが大切です。平和を希求する「沖縄の心」を具体的な行動に結びつけ、沖縄をアジア太平洋地域の平和の交流拠点にしようではありませんか。
そのためには、沖縄が、アジア太平洋地域の一員として、地域の平和と繁栄のために、自らの特性を最大限に活かした具体的活動を推進していくことが必要です。そこで私たちは、沖縄発の平和協力を支援するため、NPO法人「沖縄平和協力センター(OPAC)」を設立しました。