インターン体験記

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インターンシップ体験談

沖縄平和協力センター
インターンシップ期間:2012.8月13日~8月25日
大阪大学大学院 国際公共政策研究科修士 1 年
阪野一真


 8月13日から8月24日の2週間、沖縄平和協力センター(以下OPAC)でインターンシップをさせて頂いた。OPACを知ったのは、大学時代でありその後、学部4年時に「平和構築ワークショップ」に参加し、ここに今度はインターンシップとして来ようと思うに至った。平和活動や平和構築と言った活動においては、数多くのアクターが参入し様々な活動やプロジェクトの遂行を行う。市民がその中に参加しようと考えたとしても活動を行っているアクターによっては入りにくいのが現状である。例えば、国が主体となっているものに関しては知識や専門性などが求められるため入りづらい。また、官公庁が行うものもまた、資格や専門性が求められるため、多くの人に門戸を開放していない。一方で、NGOやNPO団体は専門性を有し独自のプロジェクトを行いながら、多くの人のために活動の場を提供してくれる。門戸を広げ、資格などを有していない、市民も参加し易い形をつくっている。自分自身は、NPOやNGOがどういった活動を行っているのか、国家や官公庁とどの点が違うのか、市民の参加し易さはどこにあるのか言った点を知りたいと思いインターンシップをさせて頂いた。それだけでなく、平和構築や東アジアでの沖縄の位置づけ、在沖米軍基地問題と日米安全保障問題など、OPACで取り組んでおられるプロジェクトに関心があると共に、大学院での研究に必要な点があると考え参加させて頂いた。

インターンシップ中に取り組んだことは、「短期集中プログラム沖縄県の平和行政」「在日米軍との自然災害対処協力」「オスプレイ問題のOPAC通信作成」「東ティモール国勢調査からのデータ作成」の4点であり、これに付随して、資料整理・作成など事務的な業務が加わる。どのプロジェクトも自分自身にとっては初めての試みであり、新鮮さのなか取り組んだ。その中で主として自分が担当したのは、資料作成やデータ整理、テープおこしであった。自分が作成した資料が人に読んでもらえることは非常に感慨深いものである。また、データ作成においても東ティモール国勢調査を用いたわけだが、そこには数多くのデータが表記されており、データ収集の幅広さと興味深さを実感した。在日米軍との自然災害対処協力有識者との意見交換会のテープおこしを担当させて頂いた。最後まで完遂させることが出来ず心残りであるが、初めての経験であり非常に興味深い作業であった。会議に参加していないにもかかわらず、録音した会議内容を聞くことで間接的に参加することが出来る。更に、会議の内容自体が、今まで着目したことがない分野であり、非常に関心を持つことでき勉強になった。琉球大学4年生の時に3.11東北方大地震が発生し、その時に沖縄ではあまり地震が起きないと安心した記憶がある。しかしその後、シミュレーションで、津波が起こった際、島国の沖縄は海抜が低く危険だということが明らかになり危機意識を持った。加えて、沖縄は南北に延びる琉球列島であり島国が点在しており緊急時の危機管理が重要となる。医療分野では昨今、緊急ドクターヘリが導入され、医療の高度が進んでいる。だが、沖縄には米軍基地がありそれとの兼ね合いや協力なしでは緊急時・災害時の沖縄を乗り切ることは困難であろう。自分の中ではそもそもこういった視点を持っていなかったうえに、問題関心としても希薄であった。そのため、テープおこしをしている間は、驚きの連続であった。この意見交換会に出席されている有識者には政治家から災害レスキュー者、学者まで参加されていたので、一線で活躍されている方の意見を、テープを通してであるが聞くことが出来たのは光栄であった。

インターンシップの最後のまとめとしてOPAC通信の作成を行った。数あるテーマの中で自分が選んだテーマは「オスプレイ問題」である。沖縄では日々の報道においても、オスプレイ問題が紙面を飾らない日は無いといっても過言ではないくらい関心を集めている。一方で、同じメディアといえども英字メディアでは関心が希薄である。特に、アメリカ本国の新聞では、事実報道のみに留まり、反対世論の誕生や意見の衝突などは見られない。アメリカのフロリダ州などで事故を起こしたにもかかわらず、なぜ反対世論はあまり見られることは無く、メディアでも取り上げないのかという点に興味を持ち大学院で比較分析を行っていた。しかし、その時は日本の本土メディアと英字新聞の比較であったためあまり内容の濃いものにはならなかった。沖縄に来て、沖縄タイムスや琉球新報に触れる中で今一度、沖縄のメディアを通してオスプレイを分析してみたいと思い取り組みに至った。沖縄ではオスプレイの資料に事欠くことはなく、また府本さんからの話を聞きながら、内容を深めることが出来た。その中でも特に、府本さんがおっしゃった「オスプレイには軸がないから見た目が不安」という点には、今まで心の中で持っていたモヤモヤが晴れた気がした。OPAC通信はA4サイズで1枚であるため、自分の書いた文章を削りながら縮小していく作業はなかなかの労力を費やした。その作業過程で、大浜さんに甚大なる協力を頂きました。感謝の意を表さずにいられない。大浜さんがまとめられた文章と自分が書いたのを見比べると、端的さ、うつくしさなど比較にもならない。人と話しながら議論を整理し、論点を抽出していく作業の重要さを実感した。大学院では個人単位での作業が主となり、自分自身との戦いというような点が否めなかったが、人と話しながら行う重要さをOPAC通信作成で学んだ。

また、働く上での職場環境の重要さも実感した。人が非常にたくさんいないOPACでは常に顔と顔が触れあう環境にある。だからこそ、聞きたい事があればすぐに聞ける。仲泊さん、樋口さん、大浜さんと一緒に食べる昼食も自分には楽しい時間であった。リフレッシュが出来、昼からも頑張ろうと思う活力をえることが出来る。みなさん非常に優しく、親身になって最後まで帰りの事まで心配して頂き本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

沖縄という地で、平和や安全保障について考えることができた濃厚な2週間であった。今後は、沖縄だけでなくアフリカというフィールドで、平和や安全保障について考えるようになるかもしれない。OPACで学んだ経験は今後も活かしていきたい。何らかの形で、今後の自分が平和や安全保障の分野に携わり、沖縄の戦後経験を発展途上国で活かすことが出来れば幸いである。また、いつかOPACに自分が貢献できればと思う。