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沖縄平和協力センター インターンシップ体験記

波照間 陽
早稲田大学国際教養学部4年


 私は2008年8月4日から22日までの3週間、沖縄平和協力センター(OPAC)でインターン生としてお世話になりました。私が沖縄平和協力センターのことを知ったのは、大学の教授からの紹介でした。それまで、沖縄の基地問題に興味があり大学や留学先の大学でも国際関係を勉強していましたが、具体的にその問題に触れることはありませんでした。米軍基地に対する感情のみが先行し、それに関する基礎知識は皆無でした。OPACを知った時、「ここでなら実践的な情報を得ることができ、基地をより身近に考えることができるのではないか」と思いました。
 運よく受け入れていただき、初めにOPACへ来た日はショックの連続でした。米軍基地に関する私の知識や感心がどの程度のものかを知るためのちょっとしたテストを受けた時、自分の無知を痛感しました。SACOもDPRIも在沖米軍基地のそれぞれの機能も知らない…一体これまで何を勉強してきたのだろうと消沈しました。しかし、この無知を受けて、これからのインターンに期待しました。テストの不出来が私の勉強に対するモチベーションを引き出してくれたのです。テスト後に仲泊さんから紹介いただいたOPAC監修『米軍再編と日米安全保障協力』を読んで目から鱗でした。基地を完全否定するのではなく、より現実的な視野で米・日・沖の立場を研究なさっていて、私の(まだ曖昧で稚拙な)考え方とどこか通じる部分があったからです。私はここで自分の考えを発展させるためにできるだけ多くのことを学びとろうと決心しました。
 インターン中には、本棚やファイルの整理だけでなく、県の基地対策課から依頼されたリサーチと週報作成もさせていただきました。どの作業にしても、私の皆無な知識・能力がパフォーマンスの低さに影響しました。ファイル整理等に関しては仲泊さんのご指導が大変役に立ちました。不手際が多くてご迷惑をお掛けしたと思います。また、リサーチに関しては、知識の無さもそうですが、学術と専門の違いに戸惑いました。週報作成のため「国家防衛戦略(NDS)」や「グアム統合計画室(JGPO)」、「海兵隊ビジョンと戦略2025」などのリサーチを任せていただきました。大学で読んだことのあるような文書でしたが、ここでは「解説」が求められていたので、初めての試みでどうすれば良いのかわかりませんでした。とりあえず、大学でやる要領で、NDSとJGPOの要約を完成させました。一方、その1週間後に「海兵隊ビジョンと戦略2025」に取り組んだ時には、わずかな知識からでも自分の見解が述べられるよう、米国国家戦略と照らし合わせながら考えていきました。この作業から、「解説」するためには幅広い知識と鋭い分析力の必要性を感じました。知識の無さと自己流の「解説」で恥ずかしいものしか作成できなかったことにお詫び申し上げます。
 このように数多くの反省点が見つかりましたが、OPACでの自発的学習を通して得たものもたくさんあります。米軍基地に関する用語や米軍再編に係る政府の動き・流れを知ることができました。学部の授業では学べないことでした。夏休みを利用して、自分を勉強できる環境、OPACという最適な環境に置くことができたことは私にとって非常に意味がありました。また、仲泊さんとのランチの会話で、「沖縄のメディアは一面的で、基地に対してナーバスになりすぎているのではないか」という論点も私にとっては新しいものでした。米・日・沖の三者が各々の立場しか主張しない姿勢の継続が、沖縄基地問題が平行線のままの状態を創り出しているように思います。日本・沖縄は米国のグローバルで包括的な戦略に取り込まれていて、自分なりの包括的戦略を持てずにいる構造が見えてきました。OPACでの収穫は必ず大学院での研究に繋がります。ここで把握した現実を基に、これから研究課題を絞っていきたいです。それと同時に、情報のアンテナを張り巡らす努力を絶やさず、「解説」ができるほどの知識をつけて、またOPACを訪れたいと思います。
 最後になってしまいましたが、勉強不足で未熟な私を受け入れて下さったOPACに心から感謝申し上げます。正味11日間という短い間でしたが、明るい仲泊さんとお仕事やお話ができて楽しかったです。開邦高校の先輩清水さん、一度しかお目にかかれなかったのが残念でしたが、お世話になりました。その他の関係者を含め皆様とより専門的な話や議論ができるよう知識や経験を蓄えて再度伺えればと思います。その時はまた宜しくお願い致します。
今後のOPACの益々のご発展・ご活躍をお祈り申し上げます。