インターン体験記

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インターンを終えて

大阪大学
外国語学部国際文化学科比較文化専攻4回生
川島然太


 OPACを知ったのは、偶然だった。所属するゼミで、一般的に「沖縄問題」と呼ばれるものに触れ、漠然と興味を持ったことが最初のきっかけだった。大戦中に悲惨な経験をし、甚大な被害を受けた地であり、また国内であるにもかかわらず、沖縄にヒロシマやナガサキに象徴されるほどの印象を持ち合わせていなかった私は、とても衝撃を受けると同時に、自分の無知を恥じた。異文化にひかれ、外国語の取得に精を出していたこれまでの学生生活を振り返り、まずは日本のことについて深く知ろうと決意し、実際に沖縄を訪れ、この目で現在も続く基地問題に代表されるような課題を感じ、考えてみたいと思った。そしてそのような現状と向き合っている組織や人々を調べていく中で、偶然OPACを知った。はじめはその活動についてお話をうかがうつもりでお邪魔させていただいたが、気がつけばインターンとして居座ることになり、結果としてOPACは自分の興味や関心をもっとも広げ、またそれを具体的に方向付けてくれる場所となった。
 私が経験した業務は、米軍再編に関する情報収集から、安全保障講座の準備・議事録作成、そしてJICA青年研修の準備・進行補助など、実に幅広く、刺激されるものばかりで、どれも自分の知識のなさを嘆くよりもまず、興味が優先した。また、それらのうちのいくつかは、自分が主体性を持って取り組むことができたため、責任感や達成感も大きかった。個別的にみるならば、JICA青年研修で東ティモールの人々と直接かかわれたことは、貴重な経験だった。紛争を身近に、過去のものではなく現在の視点で体験したことのある人々が、戦後復興と平和構築について真剣に学ぶ姿勢や、同国の歴史的背景が原因とみられる、平和の構築や維持に関する沖縄側との意見の相違について聞けたことなどがとても印象的だった。
 OPACを通じての一番の収穫は、何といっても「ひと」だと思う。様々な立場の人と出会い、またそれぞれが考える「平和」について意見を交わす機会を得られたこと。過去の歴史認識やイデオロギーの対立で踏みとどまっていた私に、それを超えた、実践的な意味での平和構築の考え・手法を示してくれたこと。現在では飛び交いすぎて、ともすれば口に出すのもためらってしまいがちな「平和」という言葉が、自分の中で改めて彩色され、より具体的なものとなった。構築の観点からいえば、現在の紛争状態をどのように分析・解決するか、維持の観点からいえば、既存する「平和」にしがみつき、ただ振り回されるよりも、それらの「平和」を検証し、いかにより発展させていくか。「平和」というものはとらえ方次第で、その活かされ方も大きく異なると実感した。このようなテーマに興味を持ち、またそのとっかかりの部分に足を踏み入れてしまった私は、いい意味でもう逃れられないのだろう。これから先、どのような形で「平和」にかかわりをもつか、今から楽しみだ。