インターン体験記

HOME > 組織・運営 > インターン体験記

OPACでのインターンシップを終えて

ハイメ1世大学大学院
平和・紛争・開発学修士課程
小松遥佳


 2012年7月17日から8月4日まで、JICA沖縄・東ティモール・コミュニティー紛争予防支援協力事業青年研修の補佐としてOPACのインターンシップに参加させて頂きました。
 私は東アジアの戦争の記憶と紛争予防、そして日米関係に関心があり、大学、大学院と海外で平和学を専攻しています。異なる文化や価値観に接し、日本について考える機会が増えたことがきっかけで、外国で学生生活を送りながらも、日本のことに重きを置いて勉強するようになりました。大学院生活を通し、転換期にある世界情勢を背景に日本が今後歩むべき道とはどういうものかを考えるために、自らの目で多くのものを見て行きたいと思っています。OPACのインターンシップに応募した理由も、先の大戦から67年が経ち、アジアの興味深い地点に位置し、日米関係を考える上で不可欠な沖縄の現状をOPACの活動を通し見ることで、これからの日本について考える一材料としたいと思ったためです。
 今回、3週間という短い期間ではありましたが、JICAの青年研修という国際協力の現場を間近で見られたことは、これまで授業で学んできたことの一つの総括となりました。担当させていただいた補佐の主な役割は、研修の全日程に同行し、議事録を書き、写真を撮影する記録係でした。その作業を通し、研修員の方々が何を考え、疑問に思っているかを客観的に見ることができたおかげで、戦後復興を生きる人々の眼差しやそのあり方を知り、物事を理解するための新たな視点を得られたように思います。同時に、援助を受ける(する)こととそれに依存する(依存させる)ことの境界線の曖昧さを目の当たりにし、今まで授業や書物を通し実感のないまま頭に詰め込んでいた国際協力の課題を痛感することもありました。
 また、滞在期間中、日々の暮らしのなかに政治的事象が溢れている、沖縄の特殊な政治性についてしばしば考えさせられました。インターンシップをさせていただいた時期はオスプレイ問題が世間を騒がせていた頃で、特に政治色が強かったことだと思います。県民大会への参加を呼びかける街宣車やポスターが街を染めようとする一方で、中国の脅威と日米関係の重要性を説き、県民大会への不参加を呼びかけ街頭演説する声も耳にしました。本屋では沖縄戦や基地問題に関する沖縄本が列をなし、政治的なポスターや石碑を視界が捉えることも多く、新聞を読めば基地問題が一面を飾る日々に、「政治的な場所だな。」そう何度心の中でつぶやいたことかわかりません。戦争による圧倒的な喪失があったわけでもなく、米軍基地があるわけでもない、私が生まれ育った場所で感じたことのない沖縄の政治性に目を丸くしながらも、今回のインターンシップを機に、沖縄が歩んできた道のりを覗けたように思います。そして、本土で語られる沖縄と現実の沖縄の隔たりを知ることができたことは大きな収穫であり、沖縄の戦後と今後について再考する良いきっかけとなりました。
 OPACでのインターンシップを経験し、想像していた以上に多くのことを知り、気づき、学ぶことができました。なによりも、今回お会いした様々な職種の方から同行させていただいた研修の内容を超えて、沖縄や社会について教えていただいたことは、残りの大学院生活、そして後に社会に出る際に役立つと感じています。このような貴重な機会を与えてくださったOPACの皆様に深く感謝しております。