インターン期間:平成22年8月9日~10月16日
広島大学大学院
国際協力研究科 開発科学専攻・平和共生コース
西俣美奈子
私は、将来、平和構築分野で活動することを目標にしている。必要条件としては、修士の資格や英語で業務を遂行できる人材となることである。では、実際に活動する人たちは、どのようなモチベーションで働き、形式的なもの意外に、何が自分に不足しているのか、実際に実務に関わりながら理解したいということが、インターンシップ参加への動機だった。今回のインターンでは、主に、『JICA草の根技術協力事業 地域提案型 沖縄・東ティモール・コミュニティー紛争予防協力』のプロジェクト調整員の補佐をさせていただいた。実際にインターンを通して、平和構築に関わる、NGOとJICAという異なる組織を見ることができたのは、将来の選択肢を考える上で非常に有益な経験だった。NGOと一口に言っても、その一つの組織の中でもいろいろな役割がある。事務調整のプロが現場を支え、実務家は現場の声を届け、調整を依頼するという、NGOの仕組みを知ることができた。
インターンを始めた時期から振り返ってみると、始めは、「私には何もできない」の一言で自分の力不足をごまかしていた気がしている。スタッフの方、調整員の方の仕事の早さについていけない、社会の常識に対する自分の無知さに幻滅し、自分の将来の目標がただの理想に終わっていることに腹立たしくもあった。しかし、インターンシップを通して、NGOという組織が、自分のいる組織が一つのチームとして動いている中で、「自分には何もできない」のではなく、「何もできないところから何かを作りだす力」が必要であることを知った。そして、自分がまだ「本気」でないことを、現場の実務家、スタッフの方の働く背中を見ながら気付かされた。限られた時間の中で、「自分には何もできない」で終わるのではなく、「今の自分にできる最大限のこと」を考えて行動する前向きな姿勢が大事である。そして、平和構築に最も必要とされていることは、「本気で現場と向き合う」ことである。現地の人々とコミュニケーションを図り、アイディアを出し、現場に貢献するアイディアを生み出す。アイディアは、現場で生まれるものだということを身をもって感じた。平和構築の現場には、「アイディア」が必要とされているのである。現状をいかに変えるか。限られた時間で最大限の効果を生み出す力、何もない状態から何かを生み出していく力。その力を支えるのは、現場と本気で向き合う力である。自分のことのように考え、全力を注ぐ。全力を出し切る方法など誰も教えてくれない。しかし、平和構築の現場で働く人々の個々人それぞれの「本気力」が集結されたとき、コミュニケーションやアイディアが生まれて初めて現場に新しい力を生み出すのだと思う。その繰り返しが、一つの国を発展させていく支えになるのだと感じた。
私は、国際協力を知ったつもりでいた。それなりに、途上国へ行き、勉強する機会を自分でつくり、知識を身につけてきたつもりでいた。しかし、インターンを通して、私は、何もわかっていなかったことに気づかされた。この国際協力を学ぶ姿勢として必要なのは、この「無知の知」に似た感覚ではないかと思う。本気で取り組む実務家が集い活動する「現場」へ行くことが、「無知の知」の感覚を得られる。ただ途上国へ行くだけではだめだったということの意味がわかった気がしている。国際協力を学ぶ中で、現場の仕組み、ネットワークの仕組みを知る必要がある。現場を支える人がいること、現場を支える人がいるから現場で汗をかくことができること、現地の声を届ける人がいること、そして、現場には様々な障害があることを思い知らされた。「計画通りにはいかない」から終わりではなく、臨機応変に対応する姿勢が必要であることも同時に感じた。
インターンシップを終えるまでは私にとっては長い道のりだった。しかし、たくさんの方々に支えられ、予想以上に貴重な経験をすることができた。温かく迎え入れてくださったOPAC事務長の仲泊さん、スタッフの清水雅代さんには、インターンの仕事から、生活面まで気遣っていただいた。このプロジェクト調整員の清水麻衣子さんには、将来平和構築の現場で働く人材としてのお手本となっていただいた。そして、不安だった現地での生活を支えてくださった、東ティモール現地のホストファミリーや東ティモールで活動する日本人の方々、JICA、大使館の方々にも大変お世話になった。そして、広島大学Gecbo事務局の方々の支えがなければ、安心して充実したインターンシップを経験することはできなかった。お力添えいただいた皆様への感謝の気持ちを持ち続けて今後も日々精進していきたい。
OPACの皆様、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。