沖縄平和協力センター
インターンシップ期間:2017.3月1日~3月10日
日本大学 国際関係学部(2年)
比嘉 彩央里
はじめに
国際協力という活動に関心を持っていた私は、「国際協力の実行機関といえばNPO」という認識からNPOに興味を持ちました。よって私は今回、国際協力機関の実態を知ること、またNPO団体が実際どのようにして協力活動を行っているのか、プロジェクトの立案から実施の過程など、NPOの仕組みを知るということを目的にインターンシップに臨みました。
インターンシップ内容
2017年3月1日から10日までの土日を除く8日間お世話になりました。業務内容は実習期間が3月だということもあり、主に会計処理業務やファイル整理、これまでの活動のまとめやその補助をさせてもらいました。OPACがこの時行っていた事業の中で私はUNDPとの提携プロジェクト「Political
Journalism」の活動、内閣府の領土・主権対策企画調整室の研究「尖閣諸島に関する資料調査及び資料編纂」への協力、JICAの草の根運動「カンボジア平和教育普及プロジェクト」を見させていただきました。また、加えて、NPOの仕組みなど私の個人的な疑問にもたくさん答えていただき教えてもらいました。
当初の目的であった国際協力機関の実態を知ること、NPOの仕組みを理解することの他にも大きな収穫がありました。 なかでも特に「カンボジア平和教育普及プロジェクト」は印象に残っています。このプロジェクトは、カンボジアのトゥール・スレン虐殺博物館を残酷な歴史だけを残した博物館ではなく、平和文化の創造の拠点として国民に親しまれるような博物館にしようという活動です。私はこのプロジェクトの中で行われた、日本とカンボジアの高校の生徒たちが直筆の手紙でお互いに自分の国の平和に対する思いを伝え合うというもののお手伝いを少しだけさせて頂いたのですが、この平和学習のアイデアにとても感銘を受けました。
戦後の世代だといわれる私達にとって過去の戦争や闘争、迫害などによる被害から考える平和というものはどうしても現実味がなく、他人事に遠い距離感で考えてしまうところがあります。しかしその出来事を現地の人々の言葉や文字で直に伝えられることで現実感が得られ、一層、学校で平和教育を受けるということに対して積極的になれるように思いました。実際に生徒たちの書く手紙の返事にも平和を切に願う気持ちが多くみられました。生徒がしっかり自分たちで理解して平和を願うことはとても重要なことに思いました。また、この手紙のやり取りはグローバル社会に生きる次世代の子たちにとって他国とつながる始めの一歩になり、相互理解につながっているようにも感じられました。これこそ平和構築につながる教育だと感じられました。
このカンボジアの平和教育普及プロジェクトに加えて、OPACが独自で行った沖縄の平和教育についての研究のお話もとても印象深いものでした。私はこれまで小学校、中学校で沖縄の平和教育を受け、沖縄戦の悲惨な被害の話をたくさん聞いてきたという考えからどこかで他県や他国の人たちよりも平和に対する思いは強いものだと思い込んでいました。しかし思えば私たちはいつでも過去の出来事を聞く受け手でしかなかったと感じます。悲惨な沖縄戦の話を聞き、大勢の人が亡くなった、戦争はよくない、そう思っているだけのようにも思えます。しかし仲泊さん、大濱さんの考えを聞いて実際に平和を保つにはその戦争が始まってしまった経緯や、これから戦争を防ぐための方法、考え方などより将来につながる先進的な平和教育が求められることにも気づかされました。
また、平和教育の方法として、伝える側の視点は多方面からでなければならないということにも気づかされました。教育を受けるものは、指導者側の視点から出来事を認識するので、伝える側はそのことをしっかり配慮することが求められるのだと知りました。沖縄の戦争で被害にあった民間人の話に加えてその加害者であった当時の兵隊、軍人の人たちの話などに耳を傾けることは、戦争を知らない世代への関心につながるようにも思いました。
おわりに
今回、私はこのインターンで以前よりも国際協力機関の実態、NPOの仕組みの理解を深めることが出来たように思います。国際協力機関がどのように支援を計画して実行しているのか、主にどんな内容の支援が現地で受け入れられ、継続されているのか、またその中でもNPO団体はどのようにして活動しているのか、具体的に知ることが出来たことは今回のインターンの目的につながりました。しかし今回OPACの活動を見させていただいたことで、私が当初考えていた国際協力の分野以外への関心が広げられたことは何よりも大きな収穫のように感じます。
教育という発想は自分の中でまったくフォーカスされていなかったものですが、今回OPACのカンボジアの平和教育プロジェクトや、沖縄の平和教育の調査の話を聞かせていただいてから次世代の子たちへの教育というものに重要性や魅力を感じるようになりました。今回の体験の中で子供たちへの教育がいかに大切に慎重に行わなければならないか感じることが多くありました。このことはこれから大学自分の進路に向けて準備していく中でとても大きなものであると思っています。
今回このように私がこの短期間に自分の興味・関心を究明できたこと、また新たな関心を広げられたという多い収穫を得ることが出来たのも、この年度末という大変忙しい時期にもかかわらず私のインターンを受け入れてくれて多くの時間を割いてくださいましたOPACの仲泊さん、大濱さんのおかげです。忙しい時期に私の質問にも丁寧に時間をかけて答えてくださって、本当にありがとうございました。明るい仕事場でとても楽しく過ごさせていただきました。感謝申し上げます。